アポカリプス・ハイ タケシ・トラバート

2012年02月28日

アポカリプス・ハイ◆地球の片隅で

Beat Angel

新しく生まれ変わったウェブマガジン【Bohemian】

2009年7月から翌2010年2月にかけて、約半年間、このウェブマガジンで『ノーマンズランドの亡命者』と題したノンフィクションを連載させて頂いた。
そのVol.11、【アノニマス】という実質的な最終稿で、確か、“この連載『ノーマンズランドの亡命者』。今回の号で一端ピリオド。「第二章」が始まるまで、しばらくの間、お休みです” というようなことを書いた覚えがある。

しかし、そんなことを書いた翌月、地球上でも極めて辺鄙で、おまけに情勢不安定な土地へ潜伏取材のため赴いてしまった。

「ニッポン」という、ある種の概念と化して久しい“国”に帰ってきたのは、それから約一年後のことである。
完全な “丸腰取材” であった。
カメラやヴィデオ、テレコなどといった「武器」を全く持たず、ただひたすら別人を演じ、アンダーカバーに徹した一年であった。

そしてチュニジア、エジプトで始まった一連の「革命」を取材するため、一時帰国した翌月、日本列島は「3.11」に遭遇してしまう。
それから丸一年というもの日本を一歩も出なかった。

あの災いは、「ニッポン」というコンセプトがこの地球上に登場して以来、最もおぞましい災難であると同時に、復興完了にこれから数十年、いや、数百年は軽くかかってしまう規模の災害である(何をもってして「復興完了」と言えるかについては多数の見解があるが、この場に持ち出す気にななれない)。
もちろん日本だけでなく、周辺諸国をも巻き込むことになる地球規模の災害だ。

この一年、周囲からよく「最悪のシナリオばかり考えているマイナス思考の役立たず」扱いされてきた筆者ではある。が、しかし、それは「復興」や「希望」の名のもとで、人間をリアリティから遠ざけようとしている闇雲メディアや似非ジャーナリズムが犯し続ける犯罪行為に我慢ならなかった故の言動。

この場でも改めて書いてしまうが、“日本列島の半分以上は、時の経過とともに、人が二度と住むことができない荒れ果てたノーマンズランドに変わり果て、又、国家が国家として存続するために必要な機能が、そう遠くない将来に停止する” という、極めて現実的な未来像を、日本人自身があえて正視しようとしない態度......それが、筆者の目にはホンモノの狂気として映る……。

あの日から約一年が経ち、ますます加速する安心報道や、一憶三千万総現実逃避シンドロームなる現象を、これでもか! と見せ付けられるにつれ、「この国が自滅してしまうのも時間の問題」なのか……と、ガクリときてしまう。



ところで、この稚文がアップされる頃、私はおそらくベンガル湾上空あたりを飛んでいる。

約一年というもの休刊状態に近いまま存続していたウェブマガジン【Bohemian】。
偶然だが震災から一周年の今月、本格的に再始動、とのこと。
本来ならば第一章で終わったままのコンテンツ、『ノーマンズランドの亡命者』の第二章を書くべきなのだが、筆者を取り巻く環境も大きく変わり、数日後には急遽決まったパキスタン取材に出掛けてしまう。

当初考えていた連載タイトルも変え、5月頃までは現地からの電子入稿というカタチを取らざるを得ない。

どのような連載になるのか、実は当人もまだよく把握していない。
シリアスなものになるのか、ドタバタ劇になるのか……

そんなことはインダス川のほとりで考えよう。


2012年2月下旬の、とある早過ぎた朝
東京にて

Takeshi Traubert (丸本武)
posted by タケシ・トラバート at 01:00| タケシ・トラバート