アポカリプス・ハイ タケシ・トラバート

2012年05月10日

for [webmag Bohemian] Takeshi







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Takeshi Marumoto(丸本武)

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Date: Wed, 9 May 2012 22:07:56 +0530
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To: olove2000@hotmail.com

この街を離れる最後の日没を
髪の長さ 約三メートルの聖者と
いまさっき
洞窟の出入り口から
うっすらと眺めてきた


実を言うと、今回、本来の目的であった「アフガニスタン・パキスタン難民取材」を最後まで貫き通すことができなかった。
ヘビーな理由もライトな理由もミディアムな理由も多々あるけれど、

この項ではさほど重要でないので割愛させて頂こうとおもう。 

 ◆

この度の取材旅行の拠点となったガンガー上流の小さな町、ラクシュマンジュラ……
この地にとどまりながら、隣国の情勢悪化が多少なりとも収まるのを、
ひたすら待ち続けていた。

その間、パキスタン南部の大都市カラチではジャンボジェット機が墜落し、約200名の乗客が亡くなり、

アフガニスタンの首都カブールではタリバン兵により日本大使館が爆撃され、
インドでは「アグニ5」という名の核兵器搭載可能(全アジアを網羅)のミサイル打ち上げ実験が行われ、
なかなか「難民取材」にまで手が回らなかったのは残念、といえば残念だが、
数ヵ月後にまた向かう。


しかし、

この歳になって、なお、
不可視で未知なる世界と、
極め付けにパワフルな磁場のおかげか、寝ても起きても交流し続けることができた。

それは、言葉や写真などでは決して伝えられないものであるのは間違いないのだが、
ある種、「究極」の地平を、ひたすら滑るように漂い、
いまだかつて人間という生き物が垣間見たことのない森羅の一部をとぼとぼ歩き、


果てしない道行きかと思われたこの人生の、とあるほとりで、
私はひとり、待ち、うなり、吠え

日毎、何某かを失い、
その数兆倍の何某かを、
日毎、どこかから与えられていたような数ヶ月……

ひとは何かを失えば失うほど
与えられ、授けられ、任され、潤される。


“失う” といっても、
たんに物質やそれに順ずるものだけでない。

“これだけは失いたくない”
というものから次々と失ってゆくのです。

もちろん意図的に排除してゆく訳ではなく、
自然に、それも、気づかぬ内に、密かにひそかに

失ってゆく・・・・・・

それは、意識下や無意識に、といった程度の次元ではなく、

使い古された言い回しだが、
「時がこっそり囁く」ように、もとい、そんな囁きさえも紫煙と共に去り
異空間、異時空間、、、異次元、、、

気づくと、いつの間にか

高次元の世界に、
そこにたまたま辿り着けた人間だけの世界の、
その地平を、

ただ
ひたすら

踏みしめているのです





この雑文がウェブマガジン「ボヘミアン」にアップロードされる頃には、

おそらく私は旅半ばでニホンという土地を訪れているかもしれない。

そもそも、私は、何処へゆくのか?
はたまた、カネはあるのか?

何も考えない・・・・・・




この数ヶ月間、

あまたの美しくも妖艶で、過酷ながらも奇跡のような瞬間と、
どれだけ対峙したか、とてもじゃないが覚えていない。

もし、カメラなどの記録マシーンが壊れたりなどしなければ、
その、蛍祭のような一瞬一瞬をフレーミングしたり、露出や絞りがどうのこうの、と、
本当に大切な一瞬を、あっけなく見逃してしまっただろう。


ジャーナリズムであろうと旅であろうと、
かろうじて書けるペンと紙があれば、
それで十分なのだ、
と、あらためて気付かされた日々だった。


 失えば失うほどひとは極端に美しくなったり醜くなったりする



どちらに転ぶかは、この全宇宙が誕生する遥かはるか昔から
誰かが親切にも、すでに決めておいてくれているのだ。

 ◆

いそがず
いそがせず

あせらず
あせらせず

おもうがままに


生きて死のう





タケシ・トラバート
丸本武
posted by タケシ・トラバート at 16:39| タケシ・トラバート